防蟻剤として一般的な合成殺虫剤処理の半減期は、有効成分によって異なるが数十日前後。構造材の劣化対策としては短すぎることから合成殺虫剤以外の工法で劣化対策を考えなければならない。
木材の劣化原因は、結露、漏水、雨漏りなどから始まる腐れとシロアリが大半であり、腐る環境においてはカビをも発生させてしまうことから健康被害にも及ぶため、雨仕舞を長期的に考えた設計、施工を心がけなければならない。
軒の出が無いデザインや陸屋根などデザインを重視した建物は特に注意が必要になる。
また、シロアリにおいては至る部位からの侵入の可能性があり、各部位の納まりだけでは防ぎきれないため、ホウ素系木材保存剤のように長期間効果が持続する適切な防腐防蟻処理を木部に施す必要がある。
ホウ酸は、無機鉱物であるため揮発などせずに防腐防蟻効果を持続させることができ、哺乳類には安心なのに対して昆虫には食毒として作用する理想的な薬剤である。
しかしホウ酸は、水溶性であるがゆえに施工時に雨養生が必要であることが弱点と言われることもあるが、雨養生をすれば良いだけのことである。
雨養生さえ行えば、防腐防蟻効果を持続させられるホウ酸は、木材劣化の観点で理想的な薬剤である。
また、雨漏り、漏水など木材の劣化原因を早期発見するべく定期的なメンテナンスを行うべきである。
昨今は、外来種のアメリカカンザイシロアリの被害が広がっている。
乾燥材に含まれるほんの僅かな水分だけで生きていけるため、家中にコロニーを形成し、近隣へ被害を広げていくシロアリである。小屋裏の最も低い含水率の構造材でもコロニーを形成できる生体であるため、再処理前提の合成殺虫剤処理では到底防ぎきれない。
上記のことから
これからの木材劣化対策は、水のコントロール及び長期間持続する防腐防蟻措置が必要不可欠である。
また、ホウ素系木材保存剤のように効果が長期間持続する処理を全構造材に施し、かつ、雨漏り、漏水、結露、そして建築中の雨養生まで考えた防腐防蟻措置が必要不可欠である。
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