「ホウ酸処理は本当に正しいの?」
“どっちもどっち”では済まされない、
シロアリ対策の真実
家を建てる際、「シロアリ対策として防腐防蟻処理をしましょう」と言って農薬系合成殺虫剤を塗る行為は、日本ではごく一般的です。
でもその一方で、「ホウ酸処理の方が安全で効果的」という話も聞いたことがあるかもしれません。
シロアリ業者は農薬処理が正しいと言い、ホウ酸専門業者はホウ酸処理が正しいと言う。
建築会社や施主からすれば、まるで意見が対立しているように見え、
「どっちもどっちじゃないの?」と感じてしまうことも多いでしょう。
しかし、これは意見の違いではなく、情報の非対称による認識のズレです。
そしてこのズレを放置すると——
命や暮らし、そして建物の寿命にまで影響を与えかねません。
世界の常識は「ホウ酸処理」。
農薬を使うのは日本だけ!
世界の住宅業界では、シロアリ対策にホウ酸処理が常識です。
アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ諸国など、木造住宅の多い国々では、構造材をホウ酸で処理することが基本中の基本。
これは、「農薬からホウ酸に切り替えた」のではありません。
最初から、安全で持続性のあるホウ酸処理を使っているのです。
なぜなら、ホウ酸には以下のような合理的な特徴があるからです。
-
揮発しない(空気中に出てこない)
時間が経っても効果が落ちない
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木材に安定して残留する
-
無機物で安全性が高い
それに対して、
農薬を使って5年ごとに再処理するという日本の方式は、世界的には極めて特殊です。
農薬処理の限界とは?
ネオニコチノイド系・ピレスロイド系の問題点
日本で主に使われている農薬系合成殺虫剤によるシロアリ対策は、ネオニコチノイド系およびピレスロイド系の殺虫成分を使用したものでいずれも農薬登録をされているものです。
これらの薬剤は、即効性に優れている反面、次のような課題を抱えています。
■効果が長続きしない
これらの成分は有機化合物であり、時間とともに揮発や分解を起こす性質があります。
そのため、処理後も効果がずっと続くわけではなく、定期的な再処理が前提になっています。
■ 木材の内部まで届かない
農薬処理は木材表面に付着させるものであり、木の中にまで届きません。
表面が摩耗したりカットされたりすると、その部分からシロアリ被害が再発するリスクが高まります。
■ 繰り返すメンテナンスコスト
「5年ごとに再処理してください」とよく言われますが、これはつまり、住んでいる限り永遠にメンテナンス費用が発生するということです。
■ 人や環境への影響も懸念
ネオニコチノイド系は昆虫の神経系に作用することから、ミツバチの大量死や農作物への影響が世界的に問題視されています。
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