日本ボレイト犀川泰光 プロフィール

2025/03/23

【徹底解説】(前編)ホウ酸処理が世界標準である理由|日本のシロアリ対策はなぜ遅れているのか?

「ホウ酸処理は本当に正しいの?」

“どっちもどっち”では済まされない、
 シロアリ対策の真実 

家を建てる際、「シロアリ対策として防腐防蟻処理をしましょう」と言って農薬系合成殺虫剤を塗る行為は、日本ではごく一般的です。
でもその一方で、「ホウ酸処理の方が安全で効果的」という話も聞いたことがあるかもしれません。

シロアリ業者は農薬処理が正しいと言い、ホウ酸専門業者はホウ酸処理が正しいと言う。
建築会社や施主からすれば、まるで意見が対立しているように見え、

どっちもどっちじゃないの?」と感じてしまうことも多いでしょう。

しかし、これは意見の違いではなく、情報の非対称による認識のズレです。

そしてこのズレを放置すると——
命や暮らし、そして建物の寿命にまで影響を与えかねません。


世界の常識は「ホウ酸処理」。
 農薬を使うのは日本だけ! 

世界の住宅業界では、シロアリ対策にホウ酸処理が常識です。
アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ヨーロッパ諸国など、木造住宅の多い国々では、構造材をホウ酸で処理することが基本中の基本。

これは、「農薬からホウ酸に切り替えた」のではありません。
最初から、安全で持続性のあるホウ酸処理を使っているのです。

なぜなら、ホウ酸には以下のような合理的な特徴があるからです。

  • 揮発しない(空気中に出てこない)

  • 時間が経っても効果が落ちない

  • 木材に安定して残留する

  • 無機物で安全性が高い

それに対して、
農薬を使って5年ごとに再処理するという日本の方式は、世界的には極めて特殊です。


農薬処理の限界とは?
ネオニコチノイド系・ピレスロイド系の問題点

日本で主に使われている農薬系合成殺虫剤によるシロアリ対策は、ネオニコチノイド系およびピレスロイド系の殺虫成分を使用したものでいずれも農薬登録をされているものです。

これらの薬剤は、即効性に優れている反面、次のような課題を抱えています。


効果が長続きしない
 これらの成分は有機化合物であり、時間とともに揮発や分解を起こす性質があります。
 そのため、処理後も効果がずっと続くわけではなく、定期的な再処理が前提になっています。

 木材の内部まで届かない
 農薬処理は木材表面に付着させるものであり、木の中にまで届きません。
 表面が摩耗したりカットされたりすると、その部分からシロアリ被害が再発するリスクが高まります。

 繰り返すメンテナンスコスト
 「5年ごとに再処理してください」とよく言われますが、これはつまり、住んでいる限り永遠にメンテナンス費用が発生するということです。
 人や環境への影響も懸念
 ネオニコチノイド系は昆虫の神経系に作用することから、ミツバチの大量死や農作物への影響が世界的に問題視されています。


今日はここまでですが、
次回ホウ酸処理のメリット」「建築会社こそ正しい選択が問われる時代に!」そして「どっちもどっちではなく正しい選択をできるかどうか」について解説します。


正しいホウ酸処理、シロアリ対策は
ボロンdeガード施工代理店にご相談ください


2025/03/22

【住宅の寿命を左右する】2025年以降のシロアリ対策は“薬剤選び”がすべて

【住宅の寿命を左右する】2025年以降のシロアリ対策は“薬剤選び”がすべて

2025年4月以降、省エネ基準の義務化により、日本の住宅はますます高気密化・高断熱化が進んでいきます。
これは住環境の快適性を向上させる一方で、「建材に使う薬剤の安全性」がこれまで以上に重要になるということを意味します。

しかし、ここに大きな落とし穴があるのです。


防腐防蟻剤=安心?思い込みが招く“高耐久化”の逆行

現在、多くのシロアリ防除業者は「農薬系の殺虫剤こそが標準的で効果的」という認識を持っています。
防腐防蟻剤とも言って使用していますが実態は「農薬登録をされた殺虫剤」を使っています。
しかも、その薬剤が人体や環境にとっても“安心”だと本気で信じており、工務店に対してもそのまま「大丈夫です」と説明してしまっているのが実情です。

そして、多くの工務店は、その言葉をそのまま信じてしまっているのです。

つまり
工務店がいくら誠実でも、「間違った薬剤選び」に気づけないという、構造的な問題が住宅業界には存在しています。


本来あるべきは「薬剤の危険性を国が明示する」こと

国が明確に「どの薬剤が安全で、どれが危険なのか」を明示してくれれば、このような混乱は起きません。
しかし現実には、薬剤の選定や運用についての判断は現場任せです。

その結果、シロアリ防除業者や建築会社の意識の高さ・低さによって、住宅の寿命に大きな差が出るという、非常に残念な状況が生まれています。


正しくホウ酸処理をすれば、シロアリも腐れも“無縁”の家に

本来、正しくホウ酸処理を行えば、木造住宅の構造材はシロアリや腐れと無縁になり、ずっと安心して暮らせる長持ち住宅になります。
再処理も不要。
薬剤が分解されたり揮発したりしないため、効果がずっと持続するのです。

一方で、農薬系の殺虫剤を使われてしまったマイホームはどうなるでしょうか?

  • 揮発や分解で効果がすぐに薄れる

  • 換気の悪い高気密住宅では成分が室内に滞留するリスク

  • 結果的に、数年後には防蟻効果が失われ、腐れやシロアリ被害に直結

つまり、高耐久化とは真逆の結果を招く恐れがあるのです。


「長寿命住宅」のカギは“意識と選択”

これからの時代、住宅の耐久性を決めるのは構造計算や断熱性能だけではありません。
防腐防蟻処理をどう選ぶか、その薬剤にどんな意識を持っているかが、家の寿命を大きく左右します。

あなたの大切なマイホームが、10年で劣化するのか、100年安心して暮らせるのか。
それは「どんな処理を、誰が、どう行ったか」にかかっています。

正しいホウ酸処理、シロアリ対策は
ボロンdeガード施工代理店にご相談ください


2025/03/21

マイホームにおけるホウ酸処理の必要性 〜経済性の観点から〜

マイホームにおけるホウ酸処理の必要性
 〜経済性の観点から〜

マイホームを建てる際、多くの方が「長く快適に住み続けること」を目指すでしょう。

そのためには、家の耐久性を高め、修繕費用を最小限に抑えることが重要です。

特に、木造住宅においてはシロアリ被害や木材腐朽が深刻な問題となります。

そこで注目されるのが「ホウ酸処理」です。

本記事では、ホウ酸処理が経済的に見ても合理的な選択である理由を詳しく解説します。

1. ホウ酸処理と従来の防蟻処理のコスト比較

一般的な防蟻処理には、農薬系の薬剤を使用した方法があります。
しかし、この方法には5年ごとの再処理が必要で、その都度費用が発生します。

対して、ホウ酸処理は「再処理が不要」であり、一度の施工で長期間にわたり効果が持続します。

  • 農薬系防蟻処理(再処理が必要)

    • 初回施工費:新築時の費用に含む

    • 5年ごとの再処理費:約15万円×5回(30年間で計70万円)
      ※15万で計算していますが、建物規模に応じます。

    • 30年間の総コスト:約70万円

  • ホウ酸処理(再処理不要)

    • 初回施工費:新築時の費用に含む

    • 追加費用:不要
      点検を5年ごとに依頼する場合:約5万×5回(30年間で計25万円)
      ※5万円で計算していますが、点検業者によります。

    • 30年間の総コスト:0万円

長期的に見ると低予算で済むのです。

2. シロアリ被害・木材腐朽による修繕費のリスク

農薬系の防蟻処理は、時間とともに効果が薄れるため、シロアリ被害が発生するリスクがあります。シロアリ被害を受けた場合の修繕費用は、

  • 軽度な被害:10〜30万円

  • 床下全体の修繕:50〜100万円

  • 大規模な補修(構造材交換):200万円以上

シロアリ被害が発生すると、多額の修繕費が発生するだけでなく、家の耐久性も損なわれます。
ホウ酸処理を施しておけば、シロアリ被害のリスクを大幅に軽減できるため、不要な修繕費を削減できるというメリットがあります。

3. ホウ酸処理は資産価値を維持する

家の資産価値を長期的に維持することも、経済的に重要なポイントです。

シロアリや木材腐朽の被害を受けた家は、売却時の査定額が大きく下がることがあります。

ホウ酸処理を施しておけば、家の構造部分が長持ちし、将来的に売却する際も資産価値を維持しやすくなります。

4. まとめ:ホウ酸処理は「長期的な節約」

ホウ酸処理は、

  • 再処理が不要でコストが抑えられる

  • シロアリ被害・木材腐朽による修繕費を削減できる

  • 家の資産価値を維持できる

という点で、経済的に非常に合理的な選択肢です。

マイホームを建てる際には、短期的なコストだけでなく、長期的なコスト削減の視点でホウ酸処理を検討することをおすすめします。

マイホームを長く大切に維持管理していくならボロンdeガード施工代理店にご相談ください。



2025/03/14

雑誌『建築技術』最新号に、日本ボレイト代表が執筆した記事が掲載されました。

『建築技術』No.900(2025.03季刊/春号)の中の2つの記事を弊社社長 淺葉健介が担当し掲載されています。
ひとつは「水害対応拠点としてのホウ酸処理事業者」。

浸水被害の後に必ず起こるカビの問題、その根本的対策として注目されるホウ酸処理の有効性を解説しています。
ホウ酸は防蟻だけでなく防カビにも効果があり、水害後の住宅の衛生環境維持に大きく役立つことが示されています。

もうひとつの記事は「浸水後の床下清掃」。
水害後の床下環境を安全で健康的な状態に回復させるための、具体的で効果的な清掃手順を詳しく紹介しています。

また、この作業に使用する薬剤についても説明されており、住宅再建を担う事業者の方々にも役立つ情報が盛り込まれています。


浸水後の迅速かつ適切な処置が、住宅を守り、住まう人々の健康を守ります。
ぜひ、詳しくは『建築技術』最新号をご覧ください。



2025/03/02

日本におけるシロアリ被害の現状と持続的対策 第三話


第一話はこちら

第二話はこちら

3. ホウ酸処理の有効性とメリット

3-1. 安定性と長期効果

世界の防腐・防蟻技術においては、「シロアリを寄せつけず、腐朽を起こさない」方法として、ホウ酸という薬剤を用いた処理が確立されています。

水に溶かしたホウ酸水溶液を木材内部に浸透させると、揮発性がないため木材の内部に留まり続け、防蟻・防腐効果が長期間にわたって持続することが化学的に説明されています。
つまり、木造住宅が取り壊されるまでの100年でも200年でも、木材を劣化させずに保護し続けることが可能というわけです。
さらに、従来の化学薬剤のように定期的な再散布が不要なため、長期的なコストパフォーマンスに優れている点も世界的に認められています。

3-2. 安全性と環境負荷の低減

ホウ酸を木材に含浸させるこの技術は、木材を食害するシロアリなどの昆虫に対して有効な毒性を示す一方、ホウ酸自体に揮発性がないため、そこで生活をする人間や胎児、幼児、ペットなどの哺乳類や鳥類に対しては安全性が高いのが大きな特徴で、まさに理想的な薬剤と言われています。
さらには、日本でシロアリ事業者に使用されてきた農薬系の殺虫剤と比べ、環境負荷を抑えられる点も大きなメリットとなっています。

3-3. 外来種を含む幅広いシロアリへの効果

ホウ酸はシロアリ全般に対して予防効果を発揮します。アメリカカンザイシロアリのように乾燥した小屋裏の木材でも侵す外来種にも有効です。
外来種の被害が拡大するなかで、長期的な効果と安心安全の両面を備えたホウ酸による防腐・防蟻技術の需要は、今後さらに高まることが確実視されています。


おわりに

日本の木造住宅では従来、短期的な農薬系の殺虫剤の散布を中心とするシロアリ対策が行われてきました。
しかし、この方法では住宅の長寿命化や資産価値の維持に十分寄与しているとは言い難く、さらに気候変動や高気密化の進展によってシロアリ被害のリスクが増大、加えて、外来種であるアメリカカンザイシロアリが侵入・定着し、被害範囲を広げている点も深刻な課題です。

こうした状況下、長期的かつ安定的に防蟻効果をもたらし、環境や健康へのリスクが低いとされるホウ酸処理は、日本の住宅事情に適した持続的な対策として大いに注目されています。

今後は、従来の農薬系殺虫剤を散布するだけの対処から脱却し、世界でも確立されているホウ酸処理技術を普及・定着させることで、木造住宅の耐久性向上資産価値の維持、さらに安心で安全な住環境の整備へとつなげることが求められます。

シロアリ対策の方法を見直し、長期的視野に立った防腐・防蟻技術を選択することこそが、これからの日本の住宅と暮らしを守るうえで欠かせない取り組みです。
建築業界の専門家や関連する皆様には、その重要性を広く認識し、積極的に実践・啓発していくことを強く期待します。