日本ボレイト犀川泰光 プロフィール

2025/03/21

マイホームにおけるホウ酸処理の必要性 〜経済性の観点から〜

マイホームにおけるホウ酸処理の必要性
 〜経済性の観点から〜

マイホームを建てる際、多くの方が「長く快適に住み続けること」を目指すでしょう。

そのためには、家の耐久性を高め、修繕費用を最小限に抑えることが重要です。

特に、木造住宅においてはシロアリ被害や木材腐朽が深刻な問題となります。

そこで注目されるのが「ホウ酸処理」です。

本記事では、ホウ酸処理が経済的に見ても合理的な選択である理由を詳しく解説します。

1. ホウ酸処理と従来の防蟻処理のコスト比較

一般的な防蟻処理には、農薬系の薬剤を使用した方法があります。
しかし、この方法には5年ごとの再処理が必要で、その都度費用が発生します。

対して、ホウ酸処理は「再処理が不要」であり、一度の施工で長期間にわたり効果が持続します。

  • 農薬系防蟻処理(再処理が必要)

    • 初回施工費:新築時の費用に含む

    • 5年ごとの再処理費:約15万円×5回(30年間で計70万円)
      ※15万で計算していますが、建物規模に応じます。

    • 30年間の総コスト:約70万円

  • ホウ酸処理(再処理不要)

    • 初回施工費:新築時の費用に含む

    • 追加費用:不要
      点検を5年ごとに依頼する場合:約5万×5回(30年間で計25万円)
      ※5万円で計算していますが、点検業者によります。

    • 30年間の総コスト:0万円

長期的に見ると低予算で済むのです。

2. シロアリ被害・木材腐朽による修繕費のリスク

農薬系の防蟻処理は、時間とともに効果が薄れるため、シロアリ被害が発生するリスクがあります。シロアリ被害を受けた場合の修繕費用は、

  • 軽度な被害:10〜30万円

  • 床下全体の修繕:50〜100万円

  • 大規模な補修(構造材交換):200万円以上

シロアリ被害が発生すると、多額の修繕費が発生するだけでなく、家の耐久性も損なわれます。
ホウ酸処理を施しておけば、シロアリ被害のリスクを大幅に軽減できるため、不要な修繕費を削減できるというメリットがあります。

3. ホウ酸処理は資産価値を維持する

家の資産価値を長期的に維持することも、経済的に重要なポイントです。

シロアリや木材腐朽の被害を受けた家は、売却時の査定額が大きく下がることがあります。

ホウ酸処理を施しておけば、家の構造部分が長持ちし、将来的に売却する際も資産価値を維持しやすくなります。

4. まとめ:ホウ酸処理は「長期的な節約」

ホウ酸処理は、

  • 再処理が不要でコストが抑えられる

  • シロアリ被害・木材腐朽による修繕費を削減できる

  • 家の資産価値を維持できる

という点で、経済的に非常に合理的な選択肢です。

マイホームを建てる際には、短期的なコストだけでなく、長期的なコスト削減の視点でホウ酸処理を検討することをおすすめします。

マイホームを長く大切に維持管理していくならボロンdeガード施工代理店にご相談ください。



2025/03/14

雑誌『建築技術』最新号に、日本ボレイト代表が執筆した記事が掲載されました。

『建築技術』No.900(2025.03季刊/春号)の中の2つの記事を弊社社長 淺葉健介が担当し掲載されています。
ひとつは「水害対応拠点としてのホウ酸処理事業者」。

浸水被害の後に必ず起こるカビの問題、その根本的対策として注目されるホウ酸処理の有効性を解説しています。
ホウ酸は防蟻だけでなく防カビにも効果があり、水害後の住宅の衛生環境維持に大きく役立つことが示されています。

もうひとつの記事は「浸水後の床下清掃」。
水害後の床下環境を安全で健康的な状態に回復させるための、具体的で効果的な清掃手順を詳しく紹介しています。

また、この作業に使用する薬剤についても説明されており、住宅再建を担う事業者の方々にも役立つ情報が盛り込まれています。


浸水後の迅速かつ適切な処置が、住宅を守り、住まう人々の健康を守ります。
ぜひ、詳しくは『建築技術』最新号をご覧ください。



2025/03/02

日本におけるシロアリ被害の現状と持続的対策 第三話


第一話はこちら

第二話はこちら

3. ホウ酸処理の有効性とメリット

3-1. 安定性と長期効果

世界の防腐・防蟻技術においては、「シロアリを寄せつけず、腐朽を起こさない」方法として、ホウ酸という薬剤を用いた処理が確立されています。

水に溶かしたホウ酸水溶液を木材内部に浸透させると、揮発性がないため木材の内部に留まり続け、防蟻・防腐効果が長期間にわたって持続することが化学的に説明されています。
つまり、木造住宅が取り壊されるまでの100年でも200年でも、木材を劣化させずに保護し続けることが可能というわけです。
さらに、従来の化学薬剤のように定期的な再散布が不要なため、長期的なコストパフォーマンスに優れている点も世界的に認められています。

3-2. 安全性と環境負荷の低減

ホウ酸を木材に含浸させるこの技術は、木材を食害するシロアリなどの昆虫に対して有効な毒性を示す一方、ホウ酸自体に揮発性がないため、そこで生活をする人間や胎児、幼児、ペットなどの哺乳類や鳥類に対しては安全性が高いのが大きな特徴で、まさに理想的な薬剤と言われています。
さらには、日本でシロアリ事業者に使用されてきた農薬系の殺虫剤と比べ、環境負荷を抑えられる点も大きなメリットとなっています。

3-3. 外来種を含む幅広いシロアリへの効果

ホウ酸はシロアリ全般に対して予防効果を発揮します。アメリカカンザイシロアリのように乾燥した小屋裏の木材でも侵す外来種にも有効です。
外来種の被害が拡大するなかで、長期的な効果と安心安全の両面を備えたホウ酸による防腐・防蟻技術の需要は、今後さらに高まることが確実視されています。


おわりに

日本の木造住宅では従来、短期的な農薬系の殺虫剤の散布を中心とするシロアリ対策が行われてきました。
しかし、この方法では住宅の長寿命化や資産価値の維持に十分寄与しているとは言い難く、さらに気候変動や高気密化の進展によってシロアリ被害のリスクが増大、加えて、外来種であるアメリカカンザイシロアリが侵入・定着し、被害範囲を広げている点も深刻な課題です。

こうした状況下、長期的かつ安定的に防蟻効果をもたらし、環境や健康へのリスクが低いとされるホウ酸処理は、日本の住宅事情に適した持続的な対策として大いに注目されています。

今後は、従来の農薬系殺虫剤を散布するだけの対処から脱却し、世界でも確立されているホウ酸処理技術を普及・定着させることで、木造住宅の耐久性向上資産価値の維持、さらに安心で安全な住環境の整備へとつなげることが求められます。

シロアリ対策の方法を見直し、長期的視野に立った防腐・防蟻技術を選択することこそが、これからの日本の住宅と暮らしを守るうえで欠かせない取り組みです。
建築業界の専門家や関連する皆様には、その重要性を広く認識し、積極的に実践・啓発していくことを強く期待します。



2025/02/27

日本におけるシロアリ被害の現状と持続的対策 第二話

第一話はこちら

1. 日本におけるシロアリ被害の特徴

1-1. 従来種による被害

日本の在来種であるヤマトシロアリは湿気を好むため、床下や水回りなどの構造材を中心に食害を行う傾向がありますが地面の湿気を蟻道を通して木材にあげることができるので、比較的地面に近い床下付近での被害が多いです。

近代建築では玄関周りへの被害も目立ちます。床下が無いため点検が出来ない上、玄関の土間下は土壌なのでシロアリが容易に玄関框や玄関建具のほか構造材へ侵入できるからです。

また、屋根に雨漏りがある場合は蟻道を伸ばして屋根まで到達し、被害を及ぼすことも少なくありません。


一方、イエシロアリは水を運ぶ能力を持ち、家中に被害をもたらす可能性があります。当初は外来種とされていましたが、現在では在来種扱いとなっているシロアリです。

これらの従来種による被害は、発見が遅れると建物の強度を大幅に低下させ、地震や台風など外的要因に対して脆弱になる点が大きな問題です。
しかし、残念ながら日本の建築業界では、こうしたシロアリ対策を十分に講じていないのが現状です。

1-2. 外来種アメリカカンザイシロアリの脅威

近年、外来種であるアメリカカンザイシロアリが日本各地で被害を拡大しています。乾燥した木材に含まれるわずかな水分だけでも生息ができるため、小屋裏のように湿度が低い場所、乾ききった木材でもコロニー(巣)を形成し、建物全体に被害を広げる特徴があります。さらに、タンスやソファ、テーブルなどの木製品にも巣を作るため、従来のシロアリ被害とは異なる深刻なリスクをもたらしています。


ところが、日本のシロアリ防除業者による駆除工事は、殺虫剤の散布など一時的な駆除しかしないため、殺虫剤が付着したシロアリは死滅するものの、コロニー内部の大半に薬剤が行き渡らず、部分的な駆除にしかならないことから「被害を根本的に食い止めることができない」「駆除は難しい」と言い切っているのが日本のシロアリ防除業者の実情となっています。

こうしたアメリカカンザイシロアリの被害は、これまでの常識を覆すほど拡大しており、メディア規制がかかっているとも聞いています。

ある行政は、「この被害を公表してしまうとその町全体の不動産価値が下がってしまう」「マイナスの資産ですなんて好評できない」とおっしゃっていましたし、別の行政は「外来種アメリカカンザイシロアリの被害による問い合わせは年に数件なので、放置します」「ものすごく被害が拡大している事実を無視します」とおっしゃっていました。

早急に世界的に実施されているとても効果的な防除技術を日本の木造建築物に導入する必要があるのに・・・・


2025/02/21

日本におけるシロアリ被害の現状と持続的対策 第一話


はじめに
日本では主にヤマトシロアリやイエシロアリなどが住宅の柱や床下などに深刻な被害をもたらします。
その結果、
建物の耐久性や安全性が著しく低下することが問題視されています。

こうした被害を防ぐために、木造住宅におけるシロアリ対策を長期間持続できる形で確立することが本来は望ましいはず。

しかし、海外においてはすでに実績ある対策が確立されているにもかかわらず、日本では「数年のあいだ効果があれば良し」という短期的な視点にとどまり、建物の長寿命化や資産価値の維持に十分配慮されていないのが現状と言わざるおえません。

そのため、震災級の地震が発生すると、木造住宅の全壊・半壊率が高くなり、不動産価値も15~20年でほぼゼロとみなされてしまいます。どんなにメンテナンスをし維持管理していてもです。

さらに、近年の気候変動や住宅の高気密・高断熱化によって、シロアリの活動範囲や被害は拡大傾向にあり、加えて化学薬剤による住まい手の健康被害も報告されるなど、対策の難しさが一層増しています。

加えて、外来種アメリカカンザイシロアリは乾燥した木材の内部でも生息・繁殖できる特徴をもつため、マイホームの小屋裏を最も好み、被害を受ける範囲は家全体へと生息範囲を広げていることから新たな脅威となっています。


こうした背景を踏まえ、日本におけるシロアリ被害の現状と課題を整理し「持続性」と「安全性」を兼ね備えた防除手法として注目される「ホウ酸処理」の有効性について解説をしていこうと思います。

第二話へつづく