ホウ酸処理とは ― シロアリ・腐れから木造住宅を守る「再処理不要」の劣化対策
ホウ酸処理の定義
ホウ酸処理とは、ホウ素系の認定薬剤(主成分は八ホウ酸二ナトリウム四水和物などのホウ酸塩)を木材に含浸させ、シロアリと木材腐朽菌から構造材を守る木材保存処理です。ホウ酸塩は無機鉱物で揮発も分解もしないため、水で流されない限り効果が持続し、合成殺虫剤のような定期的な再処理を必要としません。
なぜ効くのか
ホウ酸塩は昆虫に対して「食毒」として働きます。シロアリが処理された木材を食べると、代謝に必要な補酵素の働きが止まり、死滅します。同時に木材腐朽菌の繁殖も抑えるため、シロアリ対策と腐れ対策を一つの処理で兼ねられます。有効成分はホウ素(元素記号 B)で、温泉法の定義成分にメタホウ酸が含まれているほど身近な物質です。
効果はどれくらい続くのか
ホウ酸は無機鉱物で、時間がたっても減りも増えもしません。正しく施工すれば効果は半永久的に続き、再処理は不要です。ニュージーランドでは1952年から40年間、ホウ酸処理した住宅に生物劣化が一切なかったことが国際会議で報告されています。日本でも2011年に日本木材保存協会がホウ酸を防腐防蟻剤として認定して以来、効果が失われた事例は確認されていません。
唯一の弱点と対処
ホウ酸は水溶性のため、処理後に雨がかかると木材から溶け出します(溶脱)。新築時は雨養生で防ぎ、既存住宅の床下には雨がかからないため、実務上はこの一点を管理すれば問題になりません。雨養生を行わない業者には任せられない、というのがホウ酸処理業者を選ぶ第一の基準です。
処理の方法と範囲
処理方法は、水溶液を木材に含浸させる方法と、微粉末を壁内や小屋裏に散布する方法の2つです。処理範囲は床組から小屋組まで全構造材が理想で、最低でも土台・大引・根太・床合板と、地面から1mまでの軸組が必要です。ホウ素系認定薬剤は「非接地非暴露」の木部用に認定されており、土壌処理には使えません。
薬剤の選び方
ホウ素系認定薬剤は「どれも同じ」ではありません。ホウ酸換算濃度(BAE)が20%以上なら1回処理、未満なら乾燥後に2回目が必要です。エチレングリコールや有機溶剤を混ぜた製品もあるため、化学物質に敏感な方の住まいでは無添加の薬剤を選びます。
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