維持管理で建物を守る ― ホウ酸処理と点検、シロアリ保証の考え方
結論
木造住宅を長持ちさせる鍵は「一度の正しい処理」と「その後の点検」です。効果が切れる殺虫剤を繰り返し塗ることは維持管理ではありません。効果が持続するホウ酸処理を最上級で一度行い、以後は定期点検で雨漏れ・漏水・侵入経路を確認する。これが建物を守り続ける維持管理です。
なぜ「再処理」では守れないのか
木造住宅の資産価値は15〜20年でゼロになると言われ、その原因は木材劣化です。合成殺虫剤は新築時の施工以降、再処理できるのが床下の一部に限られます。壁内・小屋裏・床合板など、手の届かない部材は効果が切れたまま劣化が進み、大地震の際には倒壊リスクになります。「再処理できない部材」こそ、効果が持続する処理が必要です。
正しいホウ酸処理の内容
最上級のホウ酸処理では、まず基礎の水抜き穴・配管周り・打ち継ぎ部をホウ酸配合の材料で塞ぎ、シロアリの侵入経路を断ちます(1次防蟻)。次に化粧材を除く全木材に高濃度(24%BAE)のホウ酸溶液を含浸させ、玄関や水回りなど被害の多い区画は天井まで、床合板は両面と小口まで処理します(2次防蟻・防腐)。処理後は雨養生を行い、付着量をチェッカーで確認します。既存住宅では、外周・室内・床下・小屋裏の調査から始め、壁内・小屋裏にはホウ酸の微粉末を散布する方法も使います。
点検で見ること
ホウ酸処理の効果は水で流されない限り続くため、点検で見るのは「ホウ酸が流されていないか」と「新しい侵入経路ができていないか」です。雨漏れ、配管の漏水、結露、基礎のひび割れ、新しい貫通部を、最低5年に一度は床下を含めて確認します。外来種のアメリカカンザイシロアリは羽アリとして屋根から侵入するため、小屋裏や床下にゴマ粒状の糞粒がないかも点検項目です。
シロアリ保証の読み方
保証には「被害部材を修復する保証」と「修復はせず駆除・予防を無償で行う保証」の2種類があります。確認すべきは、補償の財源(業者の自己負担なら資金力)、上限額と免責(「10万円まで」「50万円まで免責」など)、再発時の適用回数、保証期間と薬剤有効期間の整合性です。シロアリは餌の木材が残る限り再発しうるため、再発前提の保証より、再発させない処理と点検を重視します。
制度との関係
ホウ素系認定薬剤は、日本木材保存協会が JIS K1571 に基づき防腐・防蟻・鉄腐食の3性能を認定したものです。住宅性能表示制度の劣化対策等級3に適合し、長期優良住宅や長期優良住宅化リフォーム推進事業、フラット35Sの優遇にも使えます。
業者を選ぶチェックリスト
濃度は20%BAE以上か。雨養生の範囲と溶脱チェックの方法は。薬剤に有機溶剤やエチレングリコールが含まれていないか。新築だけでなく既存住宅の調査・施工実績があるか。シロアリ発生時の駆除対応と保証内容は。ホウ酸施工士(一般社団法人日本ホウ酸処理協会認定)が在籍しているか。
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